それと匂わすようなことは、何も仰せにならぬまま。
いつも通りのお出掛けの仕儀の末に、
それは短く一言だけ、
―― 今宵は、待つな
たとえば、そのように。
背中を向けたまま、
突き放すようにお告げになることも、
決して珍しくはないのが、お務めへの出立で。
そうそう容易く、無事にはお戻りになれぬよな、
苛酷な務めへ いつ発たれるやも知れぬ。
そんな立場の御方様なればこそ、
待つと決めたこちらにも、
それ相応の覚悟はあって。
―― 諦めないし、
それへと後悔もしない、と
こんな心根 知られたら、
御主はどんなお顔をされるのだろか……。
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*ちょこっと時間ぎれ、もちょっと続きます。
つか、次が本題ですが、どか お待ちを。

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